スレート屋根の「縁切り(タスペーサー)」とは?
やらないと雨漏りする理由と、見積書での確認方法を一級塗装技能士が解説
執筆:土居建装 代表 土居(一級塗装技能士・現場歴20年以上)
「屋根を塗ってもらったのに、そのあと雨漏りが始まった」
実はこれ、珍しい話ではありません。原因の多くは、塗装で屋根の「隙間」をふさいでしまったこと。スレート屋根には、わざと空けておかないといけない隙間があります。
この記事では、堺市で外壁・屋根塗装をしている土居建装が、縁切り(えんきり)とは何か、なぜ必要か、タスペーサーという部品の役目、費用、見積書での確認の仕方を、現場の目線でお伝えします。
この記事の内容
1スレート屋根には「わざと空けている隙間」がある
2縁切りとは?塗るとなぜ隙間がふさがるのか
3縁切りをしないとどうなるか
4タスペーサーとは?昔の縁切りとの違い
5費用の目安と、見積書での確認方法
6縁切りが「いらない屋根」もある
7まとめ
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スレート屋根には「わざと空けている隙間」がある
スレート(コロニアル・カラーベスト)は、薄い板を下から順に重ねて張っていく屋根です。板と板の重なりの部分には、わずかな隙間があります。これは欠陥ではなく、わざと空けてあるものです。
理由は、屋根の中に入った水を外に出すため。強い雨や風で、重なりの奥まで水が入ることがあります。その水は、隙間から下の板の表面に流れて、そのまま軒先へ出ていきます。屋根の内側にこもった湿気も、この隙間から抜けます。
一言でいうと
スレート屋根の隙間は「水の逃げ道」と「空気の通り道」。ここをふさぐと、水が屋根の中にたまります。
縁切りとは?塗るとなぜ隙間がふさがるのか
屋根を塗装すると、塗料は液体なので、板の重なりの隙間に流れ込みます。乾くと、上の板と下の板が塗料でくっついて、隙間がふさがってしまう。これが問題です。
「縁切り」とは、塗料でくっついた重なりの部分を切り離して、隙間をもう一度空ける作業のこと。スレート屋根の塗装では、塗ること以上に大事な工程です。
| 工程 | 何をするか |
|---|---|
| 高圧洗浄 | 古い塗膜・コケを落とす |
| 下塗り | スレートに塗料をくっつける下地 |
| 縁切り(タスペーサー差し込み) | 重なりの隙間を確保する |
| 上塗り1回目・2回目 | 色と防水の塗膜を作る |
縁切りをしないとどうなるか
隙間がふさがった屋根では、重なりの奥に入った水の逃げ道がありません。水は毛細管現象(狭い隙間に水が吸い上がる現象)で、逆に屋根の上のほうへ吸い上げられていきます。
現場からの本音
「屋根を塗ってから雨漏りした」という相談で屋根に上がると、隙間が塗料でべったりふさがっていることが本当に多いです。塗った業者は「きれいに塗った」つもりでも、縁切りを知らないか、手間を省いたか。これは塗装のせいで屋根を悪くしたということです。
タスペーサーとは?昔の縁切りとの違い
昔の縁切りは、塗装が乾いたあとに、カッターや皮スキで重なりを1枚ずつ切っていく方法でした。手間がかかる上に、せっかく塗った塗膜を傷つけるので、仕上がりが汚くなります。
今は「タスペーサー」という小さなプラスチックの部品を使います。下塗りのあと、板の重なりに1枚ずつ差し込んで、隙間を確保します。上塗りをしても、部品が隙間を保ってくれるので、塗料でふさがりません。
| 昔の縁切り(カッター) | タスペーサー | |
|---|---|---|
| やる時期 | 塗装が全部乾いたあと | 下塗りのあと、上塗りの前 |
| 仕上がり | 塗膜を切るので跡が残る | 塗膜を傷つけない |
| 手間 | 1軒で半日〜1日 | 1軒で2〜3時間 |
| 数 | — | 1㎡あたり6〜8個。30坪の家(屋根70㎡前後)で400〜600個 |
| 確実さ | 切り忘れ・再付着がある | 隙間が物理的に残る |
タスペーサーは、スレート1枚につき2か所(幅の両端付近)に差し込むのが標準です。屋根の傾きや重なりの状態によっては、差し込めない所もあるので、そこは昔ながらの縁切りを併用します。
費用の目安と、見積書での確認方法
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| タスペーサー(材料+差し込み手間) | 1㎡あたり300〜500円 |
| 30坪・屋根面積70㎡の家 | 2〜3.5万円 |
屋根塗装40〜60万円の中で、縁切りは2〜3万円です。安い金額ですが、これを省くと屋根がダメになる。だから安い見積もりで真っ先に省かれます。
見積書でここを見る
「屋根塗装 一式」ではなく、「縁切り」「タスペーサー 〇個」または「〇㎡」と項目が書いてあるか。書いていなければ、「縁切りはしますか?タスペーサーは何個入れますか?」と聞いてください。「うちの塗料は縁切りがいりません」と言う業者には、次の見出しの話を確認してください。
縁切りが「いらない屋根」もある
正直に書くと、縁切りが不要なケースもあります。ここを知らないと、逆に不要な工事をされます。
土居建装の場合
スレート屋根は、タスペーサーを標準で入れます。屋根に上がって隙間の状態を見て、不要なら「この屋根は縁切りいりません」と言います。入れた場合は、差し込んだ状態の写真と、使った個数を工事後にお渡しします。
まとめ
「屋根を塗ってから雨漏りした」「前の塗装で縁切りをしたか分からない」という方は、屋根の写真を1枚送ってください。隙間の状態を見て、今どうすべきかをお答えします。
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メールで問い合わせるdoikenso305@gmail.com一級塗装技能士・足場作業主任者・有機溶剤・アスベスト・ハーネス
現場歴20年以上の一級塗装技能士。現地調査から足場・塗装・引渡し後の点検まで、すべて自分の手で行っています。「見えないところほど丁寧に」が信条です。
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